森下泰輔《JAN 24, 2015》

330,000円(税30,000円)
森下泰輔《JAN 24, 2015》 2023 キャンバスにアクリル 727×910mm

表現の不自由展。2015年1月24日、森下泰輔がはじめてろくでなし子に出会ったのはギャラリー古藤で開催された「表現の不自由展」会場であった。そこには《平和の少女像》も展示されており、ろくでなし子は《まんこちゃん》を見せながら少女像の隣に座った。
椅子は少女像が体験したことの理不尽を同じ立場から経験してみようという意味でパフォーマティブな作品となっている。この10年代の2つの「表現の不自由」のシンボルが一堂に会した瞬間のモニュメントとして本作を制作した。

この「不自由展」が2019年あの全国を震撼させた一大事件に発展するとはこの時は思わなかった。なし子は当時「某社会主義国のように、作家が政治犯として逮捕されたわけでもない、作品を強制撤去されたわけでもない、単に政治家に『意見』されただけで、トドメを刺されたわけでもないのですから、もしも真に表現者や作品のことを考える芸術監督であるならば、関係者と地道に交渉を続け、中止だけは避けるようもう少し努力して欲しかった。」と述べている。森下自身も2021〜2022にかけての「表現の不自由展・東京」の実行委となったが、一度目は神楽坂のギャラリー、セッションハウス・ガーデンで、事前情報を知った街宣車の圧力で中止となり、7月の大阪が市長の抑圧による会場使用不許可を提訴で取り下げさせ実行された経緯を受けて、公共施設での開催を目指した。

結果翌2022年4月国立で開催されたが、国立市、立川警察、弁護士団、実行委の度重なる打ち合わせの末の実行であり、会期中街宣車に対して警察・機動隊が警備を行って、入り口には金属探知ゲートまでが設置されてものものしい警備体制の中でようやく無事開催にこぎつけたものである。思うにあいちトリエンナーレでも同様の警備体制を敷けば中止を免れたのだろうがあいトリ側の県知事、津田大介にはそのつもりはなかったのではないか。その後の美術界識者を集合させた検証委員会も、問題の本質を素通りしながらあいトリは終わっていった。